神奈川県公立高校入試問題令和3年(数学)

 全国の高校入試問題を見ているが、まず、東京首都圏から始めている。埼玉県から始まって千葉県、東京都、と見てきたが、試験時間50分で全問解答するにはかなり忙しいのではないかというのが正直な感想である。神奈川県でも同様、しかも大問が6題も出題されている。じっくり考えている時間がないうえに、正確で速い計算が必要になる。
 問4の面積問題は多少の計算力と思考力が必要と思われる。問5の(イ)は難解ではないが、効率よく落ち着いて正確に数えなければならない。問6の(ウ)は、展開図が正確に描けるかが鍵である。
 マーク式の問題が中心で、記述式の問題と作図問題が無い。

 では、まず、大問6の(ウ)から

大問6(ウ)解答例

\(AB=6, \quad AC=9, \quad \stackrel{\huge\frown}{AD}=\stackrel{\huge\frown}{BD}\)
点\(D\)を通る母線で展開した図を描くと右下の図のようになる。
 扇形と円\(O\)との接点を\(F\)とする。

側面の扇形の中心角 \(\angle C\) は、
\(\angle C=360^{ \circ } \times \frac{6 \pi }{18 \pi }=360^{ \circ } \times \frac{1}{3} =120^{ \circ }\)
\(\stackrel{\huge\frown}{AB}\) は、扇形の弧の長さの半分で、
側面上で \(\stackrel{\huge\frown}{AD}=\stackrel{\huge\frown}{BD}\) だから
\(\angle ACD=\angle FCA=\angle FCB\)
\(=\angle BCD=30^{ \circ }\)

 点\(D\)から円錐の側面上に引いた最短の線は、右の展開図では点\(D\)から点\(D\)までの直線になるから、この線分\(DD\)の長さを求めればよい。
線分\(DD\)と線分\(CF\)との交点を\(E\)とする。

\(\triangle ACD\) において
\(CA=9, \quad \angle ACD=30^{\circ}\)
\(\angle ADC=90^{\circ}\) だから
\(CD=\frac{9}{2} \sqrt{3}\)
同様に \(\triangle CDE\) において
\(CD=\frac{9}{2} \sqrt{3}, \quad \angle DCE=60^{\circ}\)
\(\angle CED=90^{\circ}\) だから
\(DE=CD \times \frac{\sqrt{3}}{2}=\frac{9}{2} \sqrt{3} \times \frac{\sqrt{3}}{2}\)
\(=\frac{27}{4}\)
よって、求める線の長さは
\(DE \times 2=\frac{27}{4} \times 2=\frac{27}{2}\)
(答) \(\displaystyle \frac{27}{2}\)

次は大問4

大問4(ウ)解答例

(イ)までに解っていること

① \(y=\frac{1}{5}x^2\)
② \(y=-x\)
\(A(-5,5),B(5,5),C(\frac{5}{3},5)\)
\(D(3,-3),E(-3,-3)\)

点\(B\)から線分\(ED\)の延長線上に下した垂線の足を\(G\)
点\(F\)から線分\(ED\)の延長線上に下した垂線の足を\(H\)とする。

\(\triangle AEC\)の面積は
\(AC \times BG \times \frac{1}{2}\)
\(=(\frac{5}{3}+5) \times 8 \times \frac{1}{2}=\frac{80}{3}\)

四角形\(BCEF\)の面積は
\(台形BCED-\triangle FED\)
ここで
\(台形BCED=(CB+ED) \times BG \times \frac{1}{2}\)
\(=\{(5-\frac{5}{3})+6\} \times 8 \times \frac{1}{2}=\frac{112}{3}\)
また
\(\triangle FED=ED \times FH \times \frac{1}{2}\)
\(=6FH \times \frac{1}{2}=3FH\)
であるから
\(四角形BCEF=台形BCED-\triangle FED\)
\(=\frac{112}{3}-3FH\)

これが\(\frac{80}{3}\)になれば良いから
\(\frac{112}{3}-3FH=\frac{80}{3}\)
\(\iff 3FH=\frac{112}{3}-\frac{80}{3}=\frac{32}{3}\)
\(\iff FH=\frac{32}{9}\)
よって、点\(F\)の\(y\)座標は \(\frac{32}{9}-3=\frac{5}{9}\)

\(\frac{FH}{DH}=\frac{BG}{DG} \iff DH=\frac{DG}{BG} \times FH\)
\(\iff DH=\frac{1}{4} \times \frac{32}{9}=\frac{8}{9}\) だから
点\(F\)の\(x\)座標は \(3+\frac{8}{9}=\frac{35}{9}\)

(答) \((\frac{35}{9}, \quad \frac{5}{9})\)

では、大問4...

 問題を読んで操作の中身を理解するのにちょっと時間を要するかもしれない。決して難解ではないが、落ち着いて正確に数えよう。

大問4(イ)の解答例

操作1・・・箱\(P\)から数の合計が\(a\)となるカードを選び箱\(Q\)に入れる
操作2・・・箱\(Q\)から\(b\)の約数となるカードをすべて選び箱\(R\)に入れる

大小のさいころの出た目を\((a,b)\)と表記する。
操作1,操作2が終了した後、箱\(R\)に入っているカードが1枚となる場合の数を、\(a=1,2,\dots,6\) の場合に分けて数えてみる。

\((1,1),(1,2),(1,4)\)
\((2,2),(2,3),(2,5)\)
\((3,1),(3,4)\)
\((4,3),(4,4),(4,5)\)
\((5,1),(5,2)\)
\((6,2),(6,3),(6,5)\)
以上の16通り

よって、求める確率は $$ \frac{16}{36}=\frac{4}{9} $$

(答) \(\displaystyle \frac{4}{9}\)

この記事を書いた人

アクトイン代表:熊原