人事異動

 埼玉県では、高校教員の人事異動の提示は入試の時期とほぼ同じである。入試の時期になると、次はどこの学校に異動できるのか(異動させられるのか)期待や不安で気もそぞろである。入試業務に集中できない教員も居るかもしれない。

異動先として人気の高校

 ほとんどの教員は、進学校に異動したがる。自分の得意な受験テクニックを含めた学習指導ができるし、生徒指導の案件も少ない。素直でまじめな生徒が多く教師としてはやりがいがある。また、進学校では部活動も盛んである。学習指導だけでなく、部活動でも充実した教員生活が送れる。世間体も人気の理由だ。
 進学校に勤務しているというだけで世間からの教員としての評価は高くなる。

 私がK高校の定時制に居たとき、同じK高校の全日制の教員から下げすんだ目で見られることがよくあった。あからさまに嫌味を言われたこともあった。進学校に勤めることは彼らにとっては自慢なのだろう。

 人事異動では、人事異動希望書なるものを校長に提出する。そこには、異動希望地区を書くのだが、具体的な高校名も記入できる。しかし、進学校は人気が集中するのでなかなか希望通りにはいかないのが通例である。また、工業高校や商業高校のような実業高校の中で人気のある高校も存在する。生活指導が楽であることが条件となる。進学指導に追われず、自分のペースで授業ができるからなのだろう。

異動先として不人気の高校

 まず、定時制高校は人気がない。以前は定通手当が基本給の10%だったが、今では5%。定時制としての「旨味」が無いのだ。


 全日制で人気のない高校は、生活指導の大変な高校だ。

 偏差値の低い高校ほどやんちゃな生徒が多い。頭髪服装指導、化粧や装飾品の指導、遅刻欠席指導、携帯電話指導などなど...謹慎や戒告以外でもやることが多く学習指導どころではない。教員に対する態度の悪い生徒が多いので、それだけでもストレスがたまる。生活指導を一生懸命にやるほど、生徒から逆恨みされることが多くなり、反撃を食らうことになる。
 部活動もやりにくい。運動部に所属する生徒が少なく、大会に出場することすら難しい場合が多い。少し厳しい練習をすると直ぐに辞めてしまう部員も多いので、部活動の体をなすこと自体が難しい。やっとの思いで大会に出場しても、大敗し、惨めな思いをすることも多い。実話がドラマ化された『スクールウォーズ』のようには、なかなかいかないのだ。

 底辺高(偏差値の低い高校)でやりがいを感じる教員は少ないのではないだろうか。

人事異動の公平性

 全ての教員が希望通りの高校に異動できれば良いのだが、そんなことはあり得ないので必ず偏りが出てくる。希望通りに進学校ばかりを渡り歩く教員も居れば、希望がかなわず、底辺校を渡り歩く教員も居る。教員の人事は、県の人事課が決めるのだが、異動先に不満を持つ教員は多い。

 進学校の校長は、自分の学校の進路実績を上げたいと願っているので、「優秀な」人材を確保しようとする。結果的に他の進学校で実績を上げた教員や一流大学を卒業した教員を欲しがる。底辺校に長く勤務していたり、三流大学を卒業した教員は敬遠される。
 進学校の教員は、やはり「優秀な」教員が多い。学習指導に長けており、生徒からの信頼も厚い。また、30代の働き盛りの教員も多く、生き生きと楽しそうに学習指導や部活動に励んでいる。
 偏差値70前後の難関進学校ばかりを渡り歩いている教員が居る。その教員は、まさに「スーパーエリート」で神様的な存在だ。県の人事課が言う通り、人事異動の基本は「適材適所」なのだ。それを不公平だと言えるのだろうか?

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アクトイン代表:熊原