入学試験(学検)の倍率に思う

入学試験というと、受験する中学生も、受け入れる高校側も入試倍率というのが気になる。2月の中旬ごろになると、願書を受け付けて倍率が出る。

受験生は倍率が低いことを祈る。高校側はその逆で、ある程度、倍率が高くなることを望む。

高校側は、「とにかく1倍は越えてほしい」と強く望む。なぜなら、定員割れだと、原則全員合格で、かなりの低学力の生徒を入学させなければならなくなるからだ。2次試験をやらなければならない...なんていうのは大した問題ではない。

私は、中学生からは人気のない高校ばかり経験しているので、定員割れを何回も経験した。内申点オール1は珍しくない。学検点オール0点もいた。

原則全員合格だが、この受験生だけは受け入れられないと、高校側が判断した場合、県と交渉することになる。

願書受付の後、志望先変更の期間が2日ほどある。各高校の倍率をみて、定員割れの高校へと志望先を変更する中学生が居る。なにがなんでも公立高校に入学したいのだ。本人や保護者の希望もあるだろうが、入学後のことも考えてほしい。高校には単位認定という進級条件があるのだ。

ある悲劇...あまりにもかわいそうな受験生

20年以上前の話である。こういう悲劇を繰り返さないためにも...あえて書こう。

私が勤めていた高校には、県内でも珍しく音楽科があった。その高校の音楽科は毎年のように定員割れをしていた。実技試験ではピアノの演奏がある。

ある年の実技試験。ピアノの前に座った一人の受験生は、何もしようとしない。たまりかねた試験官が「ドレミファソラシドでもいいから弾いてみなさい。」と言ったが、その受験生は下を向いたまま身動き一つしなかった。が、そのうち泣き出してしまったのだ。泣くことでしか「ごめんなさい。なにも弾けません」と主張できなかったのだろう。

その中学生は、面接試験で志望理由を、「中学の先生から、『保育士になりたいのならピアノぐらいは弾けるようになった方が良い。〇〇高校の音楽科が良いのではないか。』と勧められたから。」と、述べていた。

本人の意思ではないのだ。

結果は、不合格。定員割れしていたが、高校が県と交渉して、不合格にする許可を得たのだ。

受験時に辛い思いをしたうえに、不合格とは余りにも可哀そう。周りの大人たちの軽率な判断で、一生記憶に残る辛い思いをさせてしまった。学力不足で全日制高校に入れないのであれば、定時制や通信制高校でもよいではないか。出身高校で人生が決まるわけではないのだから。

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アクトイン代表:熊原