入学試験のミス

入学試験(学検)では、様々なミスが生じる。もちろん、実施する側のミスのことだ。解答用紙の回収忘れ。得点集計間違い。合格者受験番号表示間違い。試験開始時刻間違い。などなど...人間のやることだから間違いはつきものだけど、ミスの原因のほとんどは、チェック漏れ(確認漏れ)である。

私の身近で起こった入試ミス

《解答用紙回収忘れ》

試験監督は二人で行う。一人が新任教諭のような経験の浅い教員だった場合、必ずベテラン教諭と組ませる。

もう、35年ぐらい前のことだ。私はまだ、臨時任用教諭だったころ、一人のベテラン教諭のA先生と一緒に試験監督をした。試験が終わり、受験生全員を退場させた後、A先生が、「〇〇先生は問題用紙を回収してください。私は解答用紙を回収しますから。」と、言った。当時は問題用紙も回収することになっていたので、私は言われるままに問題用紙を回収した。回収し終わった後、受験生を教室に入れ、本部に問題用紙と回答用紙を提出した。

解答用紙を回収して閉じこむ係の先生も決まっている。閉じこむ前に、欠席者を確認し、解答用紙がすべてあるのか、受験番号の記入ミスがないか確認するのだが、その係の先生から、「解答用紙が1枚無い!」と、指摘された。A先生は血相を変えて受験会場に向かった。受験会場の教室では、窓際の最前列の机の上に解答用紙が置かれていて、その前で受験生が呆然とした表情で座っていた。

窓際の最前列の机は一つだけ前に飛び出していて、死角になりやすい状態だった。

解答用紙、問題用紙を回収した後、必ず、お互いに回収したものが全部そろっているか、受験番号の記入忘れがないのか確認するのが常識だ。たとえ、入試マニュアルに書いてなくても。その確認作業がなかったのだ。

A先生は、私が臨時任用だったからなのか、全く私に相談することなく一人で仕切って監督をしていた。自分に自信があったのだろう。

本部で解答用紙を提出する際にも、確認作業は必要だ。なぜなら、受験会場から本部に移動するときに解答用紙を落としてしまう場合があるからだ。実際、受験生が「先生!これ、廊下に落ちていました。」と、本部に解答用紙を持ってきたことがあった。対応した教員が笑っていたが、笑えることなのかい?

《試験開始ミス》

私の試験監督業務で、開始時間を守れなかったことがあった。K高校の定時制勤務のときだ。

教員になって3,4年目ぐらいの時期でのこと。同期のU教諭と試験監督をすることになった。このU教諭、ちょっとしたお調子者である。監督業務のパートナーに決まったとき、少しやな予感がした。

決められた時間に本部で問題を受領するため、本部に行った。問題受領では、問題の冊数が受験者数分あるのかどうか監督者二人で確認して受領しなければならない。ところが、この大切なパートナーのU教諭が時間が過ぎても本部に来ないのだ。

慌てた本部詰めの教頭が職員室に電話をするが、一向にU教諭は本部に来ない。試験開始の予鈴(試験開始5分前)が鳴るころ、再び教頭が職員室に電話を入れるが、U教諭は来ない。予鈴が鳴ってもU教諭は本部に現れない。結局一人で受験会場に向かったが、なんとU教諭は受験会場に居た。なんの悪びれた様子はない。

急いで問題用紙を配布したが、間に合わない。試験開始時間が3分遅れたので、終了時刻も3分遅らせた。

そのU教諭、試験が終わった後もひょうひょうとしていて、私に対して、謝罪の一言もなかった。

私自身の反省としては、職員室から出るときに「U先生、行きましょう」と、声をかけるべきでした。当然本部に来るだろうと過信してました。心もとないU教諭だったので、万全を期すべきでした。

この記事を書いた人

アクトイン代表:熊原